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      減価償却制度の変更    目次へ
 
   変更点は以下の通りです。
  
  1.残存価額と償却可能限度額の廃止
    残存価額---取得価額の10%。減価償却資産の使用可能期間である耐用年数
   が経過した時点における資産価値
    償却可能限度額---取得価額の5%。取得価額の10%まで減価償却するとそこ
                 からさらに取得価額の5%まで減価償却できました。
      ただし備忘価額として1円だけ残します
    (1)適用時期
      この改正は平成19年4月1日以降取得して事業に使った減価償却資産につ
     いて適用されます
      平成19年3月31日以前に取得された減価償却資産に対する扱いは下記の
     通りとなります。
      今までどおりの減価償却方法で償却していって、帳簿価額(取得価額から今ま
     での減価償却費累計額を控除した額)が取得価額の5%に達したら、その翌事
     業年度から5年間で1円を残して減価償却をしていきます。
    (2)算式
      償却限度額={取得価額-(取得価額の95%相当額)-1円}
               ×償却を行う事業年度の月数÷60
      計算式の適用は、法人においては平成19年4月1日以後開始する事業年度
      から、個人においては平成20年からになります
  
  2.減価償却費の計算式の変更
   (1)定額法
     減価償却費=(取得価額×0.9)×定額法の償却率
                ↓
     減価償却費=  取得価額×定額法の償却率
      ※取得価額の10%である残存価額を、計算上考慮しません。
   (2)定率法
      定率法は大きく変わり、償却率が大幅にアップしました
     耐用年数が2年の場合、旧定率法では0.684でしたが、新定率法では1.0となり
     ます
     つまり、耐用年数が2年のものは、期首に買えばその年で1円を残して全額減
     価償却費として計上することができるのです。
    
   (3)償却保証額設定
      償却保証額=取得価額×保証率
     定率法の償却限度額が償却保証額を下回った事業年度から、定率法の償却
     方法が変わります
       -減価償却資産を取得したとき
        償却限度額=取得価額×定率法の償却率
       -償却限度額<償却保証額の事業年度
        償却限度額=改定取得価額×改定償却率(均等償却)
        ※改定取得価額=その事業年度の期首帳簿価額
         
  3.取得日によって別々の償却方法を採用
     4月1日をはさんで、それより前の取得分と以降の取得分に分けます。
    そのためには、減価償却資産の償却方法の届出書を確定申告書の提出期限ま
    でに税務署に届出る必要があります
    法人であれば、各決算日ごとの申告期限まで、個人であれば、翌年の3月15日と
    いうことになります
    この届出をしなかった場合
     -4月1日以降に取得した減価償却資産と同一区分(車両運搬具や工具器具備
      品などの区分)のものを4月1日より前に減価償却資産として所有している場合
      その減価償却資産に適用している償却方法を選定したとみなされます。
     -今まで車両運搬具がなくて、4月以降新たに車両を取得して、かつ届出をしな
      かった場合
      法定償却方法を採用したものとされます

  4.資本的支出
     資本的支出とは、今ある減価償却資産の耐用年数を長くしたり、価値を高める
    ような支出を言います
    今までは、たとえば自社ビルに浴室を100万円かけて作った場合、建物の取得価
    額にその100万円を加算して、減価償却を行っていました。ところが、4月1日以
    降の資本的支出からは、原則としてその100万円は、新たに取得した減価償却
    資産 として、分離して減価償却をすることになりました。
     例外として次の選択もできます
   (1)平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産資本的支出をした場合には、
     従来どおり、既存の資本的支出を行った減価償却資産の取得価額に、その資
     本的支出の金額を加算することができます。
     つまり、建物の取得価額に100万円を加算することができるということです。
     但し償却率は旧率適用になることと、旧減価償却資産の償却が95%になってい
     る場合、別途注意が必要です。
     
   (2)平成19年4月1日以後取得した減価償却資産に対してする資本的支出について
     は2つの特例があります
     その1
      既存の減価償却資産と資本的支出の両方とも定率法を採用していることが条
      件で、次のような取り扱いが認められています。
      先ほどの例で説明すると、資本的支出をした事業年度は100万円を個別に定
      率法で減価償却して、翌事業年度においては既存の建物の帳簿価額と浴室
      100万円の帳簿価額の合計額を取得価額として減価償却をすることができま
      す。
     その2
      事業年度内に2回以上の資本的支出をした場合の特例です
      自社ビルに同一事業年度内に浴室を100万円で作り、トイレを50万円で増設し
      た場合を例にします。
      両者とも定率法を採用して支出事業年度は減価償却します。
      そして、翌事業年度においては、両者の帳簿価額の合計額を取得価額として
      減価償却をすることができるのです。
      つまり、支出事業年度は浴室とトイレを別々に定率法で減価償却し、翌事業
      年度以降は、両者を合計して減価償却をすることもできるということです
  
  5.今回の改正で節税になる点
     平成19年4月1日以後取得した減価償却資産については、定率法の償却率が
    はじめは多く減価償却できるように変更になっています。
    したがって、平成19年4月1日より前からある減価償却資産に対して、4月1日以
    降行った資本的支出については、既存のものとは別個に新定率法を適用した方
    が、早期に償却額を多く計上できますのでお得といえます
    また、資本的支出に関しては、将来その部分を除却する場合には、手間はかか
    りますが個別に減価償却しておいた方が、除却損の計上が容易に行えますの
    で、有利といえます。

  
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