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平成23年6月に消費税に関する以下の改正が行われました。
-事業者免税点の基準
-仕入れ税額控除の方法
1.事業者免税点制度の見直し
(1)現行
当該事業年度の2年前を基準期間と呼び、基準期間の売上高が1000万円以
下の事業者は納税義務が免除されています(事業者免税点制度)。
基準期間の課税期間は、個人事業者は暦年(前々年)、法人は事業年度(前々
事業年度)です。
但し新設法人(基準期間がない法人)は、事業年度開始の日における資本金
の額が1000万円以上の法人は事業者免税点制度が適用されません。
個人事業者と資本金の額が1000万円未満の法人は、基準期間がない課税期
間は免税事業者です。
また、相続、合併、分割の場合についても、特別の定めがあります。課税事業
者を選択した事業者も事業者免税点制度は適用されません。
基準期間の課税売上高は、その期間が免税であれば税込売上高、課税であれ
ば税抜売上高です。
返品、値引き、割戻しなどの金額は控除、貸倒れ金額は控除しません。
(2)今回の改正
基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合であっても、次に
掲げる期間(以下「特定期間」という。)における課税売上高が1,000万円を超え
るときは、事業者免税点制度を適用しないことになりました。
@個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間
Aその事業年度の前事業年度がある法人の当該前事業年度開始の日以後
6月の期間
Bその事業年度の前事業年度が7月以下である法人の場合には、その事業
年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他一
定のものを除く。)開始の日以後6月の期間(当該前々事業年度が6月以下
の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
つまり、基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、その次の期間
の最初の6ヶ月の課税売上高が1000万円を超えている場合には、課税事業
者になります。なお、この6ヶ月を「特定期間」といいますが、この特定期間に、
個人事業者又は法人が特定期間中に支払った給与等の金額に相当するも
のの合計額をもって特定期間における課税売上高とすることができるとされて
います。つまり、課税売上高または給与等の額のいずれか少ない額をもって
判定ができるということです。
(3)改正施工時期
平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度について適用されま
す。したがって、最初は、個人事業者の場合平成24年の前半、法人の場合
は平成24年1月以後に開始する事業年度の最初の6ヶ月の売上高が分かれ
目になります。改正の経緯は中小企業をターゲットにしたものではないといわ
れますが、新設法人が1年早く課税事業者になるケースは増加すると推定さ
れます。
(4)課税への影響
課税売上高が1千万円を超えても給与等の金額が1千万円を超える場合
は稀な場合と想定されます。従って多くの事業主様は給与基準で判定する
ことにより、課税されるケースは少ないと推定されます。
給与基準で判定するということが重要なポイントです。
2.課税売上割合が95%以上の場合の仕入れ税額控除
(1)現在の制度
消費税は、売上げについて預かった消費税額から仕入れについて支払った
消費税額を差し引いて納付する仕組みになっていますが、仕入れについて支
払った消費税額を差し引くことを仕入れ税額控除といいます。預かった消費税
より支払った消費税のほうが多い場合には、消費税額の還付を受けることが
できます。
控除できる仕入れ税額の計算にあたり、対象となる仕入れは課税売上のため
の仕入れとするのが原則ですが、現在は、課税売上割合が95%以上の場合に
は仕入れに要した消費税額を全額控除できることになっています。(消費税法
第30条@)一方、課税売上割合が95%未満の場合には、一定の方法で課税売
上割合を使って按分計算して仕入れ税額控除の額を計算します。つまり、仕入
れ税額のうち控除できない額があるということです。
(2)今回の改正
課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税
額控除する制度については、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税
期間が1年に満たない場合には年換算)を超える事業者には適用しないこととさ
れました。
つまり、課税売上高が5億円を超える事業者は、課税売上割合が95%以上であ
っても、原則どおり、課税売上げのための課税仕入れに限って仕入れ税額控
除を計算するということになり、仕入れ税額控除の額が少なくなることになり、大
企業を中心に、かなり納税額が増えるとみられています。
この改正は、平成24年1月1日以後に開始する課税期間から適用されています
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