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事前確定届出給与は、あらかじめ役員報酬額を決めて税務署に届け出る制度で、役
員報酬を利益の状況に応じて変動させないということが、定時定額給与、事前確定届
出給与を定めた主旨です。届出をした支給額と実際の支給額が違ってしまったら届出
の意味がなくなります。実際に支給した額が、届出額より多くても少なくても、差額で
はなく、その支給額全額が損金不算入の扱いになります。
(例) 3月期決算会社。定期同額給与の他に6月及び12月に200万円づつ支給する旨
を届け出ておき利益の状況を見て6月は200万円支払い、12月は利益が出なか
ったので50万円のみ支給した。
2つのケースを想定し、処理を予測してみました。
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6月に200万円
支給 |
12月に50万円のみ支払 |
ケース1 |
ケース2 |
支給金額 |
200万円 |
建前は200万円支給。但し150万円分は債務免除 |
50万円のみ支給 |
ケ
│
ス
1 |
-損金不算入額 |
0 |
0 |
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-給与の源泉徴収 |
200万円について源泉税徴収支払 |
200万円分の源泉税負担支払 |
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-個人の所得 |
200万円 |
200万円 |
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-給与勘定と債務免 除益相殺で利益なし |
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|
ケ
│
ス
2 |
-損金不算入額 |
200万円 |
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50万円 |
-給与の源泉徴収 |
200万円について源泉税徴収支払 |
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50万円について源泉税徴収支払 |
-個人の所得 |
200万円 |
|
50万円 |
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<<コメント>>
-ケース1------150万円分の債務免除処理をする場合
支給期到来前に受給者が辞退の意思を明示して辞退する場合、所得税は課税
されません。一方、支給期到来後に受領を辞退した場合、支払者は債務免除を
受けた時に支払があったものとして源泉徴収をおこなう必要があります。当該処
理により会社の法人所得計算上、損金不算入額は発生しないと考えます。但し
絶対問題なしとも言えません。
確実な対処をするためには所轄税務署の法人課税1部門、指導担当官に確認
相談することをお奨め致します。事前確認をせずに署と会社の判断に相違を生
じる場合、過少申告等の問題が生じますので要注意です。
-ケース2------50万円の支給処理
合計250万円損金不算入の公算大です。
※債務免除給与の源泉徴収
支給期到来前に受給者が辞退の意思を明示して辞退したものは所得税は課税
されません。 (基本通達28-10)
但し支給期到来後に受領を辞退した場合、支払者は債務免除を受けた時支払
があったものとして源泉徴収をおこないます。
(基本通達181〜223共-2)
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