1. 留保金課税とは
一般的に上場会社等は稼いだ利益を株主に配当し株主は配当所得として所得税
の課税の対象となります。一方未上場の同族会社は経営者の課税所得を増やさな
いように配当や報酬を抑制します。この結果会社の利益は会社に留保され税務当
局は所得に対して課税できないという事態が生じます。
そこで一定の要件に該当する同族会社が過剰な利益の社内留保を行っていると
きは、社内留保に法人税を課税をすることにより課税の公平化を図っています。 ※一定の要件に該当する同族会社
株主等の1人及びその同族関係者等で、その持株割合等が50%超となる会社(以
下「特定同族会社」と記載)です。但し、資本金又は出資金の額が1億円以下の場
合は、課税の対象外となります。
2.留保金課税改正経緯
|
改正年度 |
平成18年 |
平成19年 |
平成20年
|
対 象 法 人 |
資本金等の額 |
すべての法人が対象 |
1億円超 |
同左 |
持株保有割合 |
1株主グループによる 持株保有割合が50%超 |
同左 |
同左 |
|
|
|
|
|
留 保 金 控 除 額 |
所得基準額 |
所得等の金額×40% (中小企業は50%) |
所得等の 金額×40% |
同左 |
定額基準額 |
年2000万円 |
同左 |
同左 |
積立金控除額 |
期末資本金額×25% −利益積立金額 |
同左 |
同左 |
自己資本比率基準額 (中小特定同族会社のみ) |
自己資本比率30%に 達するまでの金額 |
- |
- |
|
|
|
|
|
不 適 用 措 置 |
中小企業新事業活動促進法の経営計画承認を受けた中小企業者で経営革新のための事業を営んでいるもの |
平成18年4月1日〜 平成20年3月31日 |
同左 |
廃止※
|
|
※一部経過措置あり
3.
留保金に対する税額 留保金課税額は下記の通りです。 (所得等−(配当+法人税等)−留保控除額)×特別税率(※)
|
課税留保金額 |
特別税率 |
3000万円以下の部分 |
10% |
3000万円超1億円以下 |
15% |
1億円超 |
20% |
|
4.留保金課税概略図
5.留保金課税会社対象範囲
※同族会社3つの概念 1.同族会社
株主等(その会社が自己株式等を有する場合のその会社を除く)の上位3グ
ループ(これらと特殊の関係にある個人や法人を含む)で、発行済株式総数
(自己株式を除く)の50%超を所有する会社。
2.特定同族会社 被支配会社で被支配会社の判定基礎株主の中に被支配会社でない法人が
ある場合に、その法人を判定から外した場合でも、なお、被支配会社である会
社を「特定同族会社」といいます。 被支配会社とは次のいずれかに該当する会社です。 (1)1株主グループによって発行済株式の50%超を保有されている会社 (2)1株主グループによって重要な議決権の50%超を保有されている会社 (3)1株主グループによって合名会社、合資会社、合同会社の社員の過 半数占められている会社 留保金課税の対象となる同族会社の範囲が、上記「同族会社」からこの「特 定同族会社」に狭められた。
3.特殊支配同族会社(実質的な一人会社)
オーナー及びその同族関係者等が、株式等の90%以上を保有し、かつ、常務
に従事する役員の過半数を占めている同族会社とされています。
▲Page top
|