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       リース取引(借手側)の会計処理と税務処理概要  目次へ
 
   平成20年4月1日以後に締結するファイナンス・リース契約※1 から、以下の新しいリース

 計基準、税制が適用されます。
   -1 売買取引(資産の取得)があったものとみなして、 法人税・所得税の計算を行
     い、BSの表示を行う。

   -2 消費税についても、 リース取引開始初年度にリース料総額分の消費税を仕入控
     除する。

      但し賃借処理した移転外リースは例外的に消費税の分割控除が可能。
       (2008年11月21日、国税庁の質疑応答事例)

   -3 リース税額控除制度は廃止され、 通常の資産取得等の場合と同じく税額控除制
      度が適用される。 但し、「特別償却」、「圧縮記帳」は適用されないので注意。

   -4 通常の売買と異なる点
      @所有権移転外リース資産については少額資産(10万円未満)、一括償却資産
        (20万円未満)の損金算入の適用はない。
      A30万円未満の少額減価償却資産の即時償却の適用はある。
      Bリース料前払による短期前払損金処理の適用はない。
        〜償却費として償却限度額以内の損金算入のみ認められる
   -5 会計処理は「売買」としても、所有権はリース会社にあるので、固定資産税の対
      象にはならない。

      〜所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合

    
   ※1次の@またはAを満たすリース取引

@リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額の90%(フルペイアウト)

A解約不能リース期間≧経済的耐用年数の75%  

    
    現在価値=PV(年利/年間支払回数,年間支払回数*支払年数,1回当り支払
           い金額,,0) -----EXCEL  PV関数

 1.リース取引の分類

取          引 改正前 改正後
会計 税制 会計 税制
ファイナンス・リース 所有権移転リース 売買処理 売買処理 売買処理 売買処理
所有権移転外リース 原則:売買処理

賃貸借処理 原則:売買処理 売買処理
例外:賃貸借処理 例外:賃貸借処理 売買処理
(賃借料を償却費とみなす)
オペレーティング・リース

賃貸借処理 賃貸借処理 賃貸借処理 賃貸借処理
   <<所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースの区分判定>>
    ファイナンス・リース取引のうち、次のいずれかに該当する場合を所有権移転ファイナンス・
    リースといいます。

      -所有権移転条項付リース
      -割安購入選択権付リース
      -特別仕様物件リース
    実務上、上記のリースは少なく、日本のファイナンス・リースは、ほとんど所有権移転外ファ
    イナンス・リースに該当しています。

 2.所有権移転外リースの会計上と税務上の処理の違い詳細
会計上 税務上
処理方法 原則:売買処理  (※2) 売買処理
例外:賃貸借処理 (※3)
減価償却費処理 -リース期間定額法による償却---要別表16(4)
-例外による賃貸借処理を行っている場合、賃借料は税務
 上減価償却費として取り扱われる(法令131の2B)
 なお賃借料の額と償却限度額が異なるものについては
 別表16(4)を用いて税務調整が必要。(※4)
 (法基本通達7-6の2-16)
リース資産の計上 原則:元本と利息を区分

原則:元本と利息を区分

例外:区分しない  
〜利息を含むリース料の総額
例外: 区分しない  
〜利息を含むリース料の総額
消費税

利息が明示されている場合
  利   息  : 非課税
  リ ー ス 料  : 課税

利息が明示されてない場合 
  利息を含むリース料総額 : 課税
   ※2 利息処理3つの方法
      利息法、利息定額法、利息計上しない

   ※3
 会計基準では以下の場合、賃貸借処理ができます。
      ・ 中小企業 (会計基準が強制適用される大企業以外)
        〜強制適用される大企業とは以下の範囲を指します。

        -金融商品取引法適用会社およびその子会社、関連会社
        -会社法における大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の
         会社)
        -会計監査人設置会社及びその子会社

      ・ 総額300万円未満の少額リース
      ・1年以内の短期リース
      ・購入した場合に一括費用処理する方法を採用している場合で、リース料
       額が当該基準額以下のリース取引

   
   ※4 会計基準と税務取扱は異なりますが、会計基準に則り賃借料処理した場合、
      税務上、償却費とみなすということです。
      税務が会計基準の考え方を受けて、添った対応をしているということです。
      なお賃借料の額と償却限度額が異なるため税務調整が必要になるケースは平
      成20年4月1日以後の契約分であり、平成20年3月31日以前の契約分につい
      ては、従来通り調整は不要です。 


3. 売買処理仕訳例
  リース期間5年、リース債務元本部分48,000千円、利息相当部分12,000千円
    
 (1)原則処理-----利息相当分とリース債務の元本返済部分区分計算

     〜契約書に利息相当分とリース債務の元本返済部分明示あり
      @リース取引開始時 
        リース資産   48,000  / リース債務   48,000
        仮払消費税  2,400  / 未払金    2,400   ※5

      Aリース料支払時〜各月
        リース債務      800  / 現預金       1,040
        支払利息     200
        未払金       40
                          
      B決算時  
        減価償却費    9,600  / 償却累計額 9,600
  
         (48,000÷60ケ月×12ケ月)

  (2)例外処理その1----リース料総額から利息相当額を控除しない方法
      〜契約書に利息相当分とリース債務の元本返済部分明示なし
      @リース取引開始時 
        リース資産   60,000  / リース債務  63,000
        仮払消費税   3,000                 ※5  

      Aリース料支払時〜各月
        リース債務     1,050 / 現預金         1,050
             
      B決算時  
        減価償却費    12,000 / 償却累計額  12,000
  
         (60,000÷60ケ月×12ケ月)
     
    ※5 実務上、契約書に利息相当額が明示されていると仕入税額控除ができなく
       なり、顧客である借手の不利益となる

 
   (3)例外処理その2----賃貸借処理 

     @リース取引開始時 
        仮払消費税   3,000 / 未払金      3,000  
     Aリース料支払時〜各月
        賃借料       1,000 / 現預金         1,050

        未払金        50
     <<財務諸表注記事項>>
      -賃貸借処理を採用している旨
      -リース物件取得価額相当額、減価償却累計額相当額、期末残高相当額等
      -未経過リース料期末残高相当額等
      -当期支払リース料、減価償却費相当額、支払利息相当額等
      -減価償却費相当額及び支払利息相当額の算出方法


 5.適用時期
   (1)リース会計基準
      平成20年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用されま
    す。四半期財務諸表に関しては、平成21年4月1日以後開始する連結会計年 度
    及び事業年度に係る四半期財務諸表から適用されます。
   (2)リース税制
     平成20年4月1日以後に契約するリース取引から適用されます。

  
  
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