個人が所有する上場会社株式を上場会社等の市場買付け又は公開買付けに よる自己株式の取得に応じて株式を発行法人に売却した場合には株式の譲渡所 得課税のみとなり、10%の申告分離課税で完了します。 一方非上場株式を発行会社に売却した場合には、売却価額がその株式に対応 する資本金等の額を超える部分については、みなし配当があったものとして配当 課税(源泉徴収の対象)とされます。また、その株式に対応した資本金等の額と取 得価額との差額が株式譲渡損益となります。一つの取引の中に、みなし配当課税 と株式譲渡所得課税が混在しています。さらに税率は配当課税の場合、最高で 50%(40%の所得税と10%の住民税)、配当控除を考慮しても43.6%の高率課税で す。さらに譲渡課税は20%(15%の所得税と5%の住民税)で上場株式の場合の2倍 です。このように上場会社株式と非上場会社株式の大きな税負担の差が発行会 社に売却した時に生じます。
例外として相続又は遺贈による財産の取得をした個人でその相続又は遺贈につ き相続税があるものが、その相続の開始があった日の翌日からその相続税の申 告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間にその相続税額に係る課 税価格の計算の基礎に算入された非上場株式をその非上場株式の発行会社に 譲渡した場合について次の措置が講じられます。 (1)その非上場株式の譲渡の対価としてその発行会社から交付を受けた金銭の 額がその発行会社の資本金等の額のうちその交付の基因となった株式に対 応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額については、みな し配当課税が行われません。 (2)上記(1)の適用を受ける金額について、株式等に係る譲渡所得等に係る収入 金額とみなして、株式等に係る譲渡所得等の課税の特例が適用されます。
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<<非上場株式通常の相対取引>>
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<<非上場株式を相続で取得等し相続税の申告期限後3年
以内に発行会社に譲渡した場合>>
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※資本金等の額 法人税法は、「資本の払戻し」と「剰余金の分配」では課税上の取扱いが異なる ため、「払い込まれたもの」と「会社が稼いだもの」を明確に区分した形となって いる。株主等から出資を受けた金額を資本金等の額
と定義づけている。
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