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Ⅰ.法人税関係
1.法人税、実効税率の引下げ
(1)国税、地方税併せた法人実効税率が、29.97%(現行:30.58%)となります。
(2)所得金額別の実効税率
①外形標準課税対象法人以外
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所得金額 |
法人税 |
地方
法人税 |
事業税 |
地方法人
特別税 |
年400万円以下 |
15% |
0.66% |
3.4% |
1.47% |
年400万円超 800万円以下 |
0.66% |
5.1% |
2.20% |
年800万円超 |
23.4% |
1.03% |
6.7% |
2.89% |
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所得金額 |
住民税 |
合 計 |
表面税率 |
実効税率 |
年400万円以下 |
1.94% |
22.46% |
21.42% |
年400万円超 800万円以下 |
1.94% |
26.50% |
23.20% |
年800万円超 |
3.02% |
37.04% |
33.80% |
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②外形標準課税対象法人
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所得金額 |
法人税 |
地方
法人税 |
事業税 |
地方法人
特別税 |
年400万円以下 |
23.4% |
1.03% |
0.3% |
1.24% |
年400万円超 800万円以下 |
1.03% |
0.5% |
2.07% |
年800万円超 |
1.03% |
0.7% |
2.90% |
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所得金額 |
住民税 |
合 計 |
表面税率 |
実効税率 |
年400万円以下 |
3.02% |
28.99% |
28.55% |
年400万円超 800万円以下 |
3.02% |
30.02% |
29.27% |
年800万円超 |
3.02% |
31.05% |
29.97% |
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※1 地方法人税の税率---------法人税税率×4.4%
※2 地方法人特別税の税率
外形標準課税対象法人以外-----事業税税率×43.2%
外形標準課税対象法人---------事業税税率×414.2%
※3 住民税税率---------------法人税税率×12.9%
※4 表記載の税率は標準税率
~超過税率適用の場合の税率は異なります
※5 実効税率算出
表面税率合計 / (1+事業税表面税率+地方法人特別税表面税率))
特
(3)適用時期等 平成28年4月1日以後に開始する事業年度より
2.外形標準課税税率引き上げ
法人実効税率の引下げに伴う財源確保のため、外形標準課税が拡大されます
。法人事業税全体に占める割合は現行の4/8から5/8へ上昇します。一方で同割
合だけ所得割の税率は引き下げられます。
なお、地方法人税と同じ税源の再配分を目的として創設された地方法人特別税
は、地方法人税率の引上げに伴い平成29年度に廃止され、法人事業税と一体化
されます。
※所得割の税率引下げ
外形標準課税の税額が平成27 年度より増える場合、以下の年度分について
免除されます。
①平成28年4 月1 日~平成29 年3 月31 日の間の開始事業年度の増加
分-----75%免除
②平成29 年4 月1日~平成30 年3 月31 日の間の開始事業年度の増加
分------50%免除
③平成30 年4 月1 日~平成31 年3 月31 日の間の開始事業年度の増加
分------25%免除
適用時期等 平成28年4月1日以後に開始する事業年度より
3.繰越欠損金の利用制限
企業経営への影響を平準化する観点から、平成28年度から5%ずつへの引下げ
へ見直されました。同時に繰越期間を10年へ延長する改正の開始時期が平
成30年度以降へ1年延期されました。
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所得金額 |
平成28年4月1日以降開始事業年度 |
平成29年4月1日以降開始事業年度 |
平成30年4月1日以降開始事業年度 |
大法人(資本金1億円超)現行 |
65% |
50% |
50% |
大法人(資本金1億円超)改正 |
60% |
55% |
50% |
中小法人等 |
なし |
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適用時期等 平成28年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金
額から
4.減価償却制度の見直し
法人実効税率引下げによる財源確保の一環として、平成28年度以後に取得する
建物附属設備及び構築物について定率法が廃止され、定額法に一本化されます。
5.雇用促進税制の見直し
雇用の増加に応じて一定の税額控除を認める税制優遇措置の範囲を狭めま
す。対象事業所及び税額控除額を縮減し、適用期限が2年延長されました。
概要は以下の通りです。
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項 目 |
現 行 |
改 正 |
対象事業所 |
全事業所 |
有効求人倍率が低い雇用開発促進地域限定
-東京、大阪は対象 外
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税額控除額 |
増加雇用者×40万円 |
増加雇用者×40万円-無期・フルタイム 限定 |
適用期限 |
平成27年度 |
平成29年度 |
所得拡大促進税制との併用 |
不可 |
可 |
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適用開始時期:平成28 年4 月1 日以後開始事業年度より
Ⅱ個人所得課税・資産課税
1.三世代同居に対応した住宅リフォームに係る特例
自己の有する家屋に三世代同居対応改修工事を行い、平成28年4月1日から
平成31年6月30日までの間に居住の用に供したときは、ローン控除特例又は税
額控除特例を適用できます。
(1)対象工事
①調理室 ②浴室 ③トイレ ④玄関
(2)対象工事要件
①上記①から④までのいずれかを増設すること。
②改修後、上記①から④までのうち、いずれか2つ以上が複数となること。
③対象工事の費用が50万円超であること。
(3)特例
次のいずれかの特例を適用することができます
①ローン控除の特例
三世代同居対応改修工事を含む増改築工事に係る住宅ローン(償還期間5
年以上)の年末残高1,000万円以下の部分について、一定割合を乗じた額を
5年間の各年において所得税額から控除
控除額 = ローン残高 × 控除率
イ.対象となる三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相
当する住宅借入金等の年末残高 ×2%
ロ.イ以外の住宅借入金等の年末残高 ×1%
1年あたりの最大控除額は以下の通りです。
250万円×2% +(1000万円 - 250万円)×1%=125,000円
②税額控除特例
~ローンなしで既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合
三世代同居対応改修工事の標準的な費用の額の10%相当額を、その年分の
所得税額から控除(限度額25万円)。
2.セルフメディケーション(自主服薬)推進のためスイッチOTC薬控除創設
~医療費控除の特例
次の検診等または予防接種(医師の関与があるものに限る)を受けていることを
要件としてスイッチOTC医薬品の購入費用を年間1.2万円を超えて支払った場合
には、その購入費用(年間10万円を限度)のうち1.2万円を超える額を所得控除で
きる制度が創設されます。
①特定健康診査 ②予防接種 ③定期健康診断 ④健康診査 ⑤がん検診
(1)控除対象
要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品(類
似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)
(2)現行の医療費控除と当制度の選択は二者択一
本特例の適用を受けるか、医療費控除の適用を受けるかは選択となります。
適用開始時期と適用期間 平成29年1月1日から平成33年12月31日
3.相続した空き家を譲渡した場合の特別控除の特例
従来の「譲渡所得の3,000万円の特別控除」は、所有者自身が生活の拠点として
利用していた家屋の売却が前提でした。2016年4月からは、相続した空き家を売却
する場合でも、以下の条件をすべて満たすことにより3,000万円の特別控除の特例
を適用できます。
(1)特例の適用対象となる家屋
①1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋 (旧耐震基準建築) 。
②区分所有建築物以外。
③相続する前、被相続人が1人で住んでいた居住用家屋。
~ 相続開始により、空き家になった家屋
(2)特例の適用対象となる譲渡
①相続の時から譲渡の時まで、居住、貸付、事業に使われていない。
②耐震改修を行い新耐震基準に適合する建物として売却するか、家屋を取り壊
して土地だけ売却する場合。
③譲渡期間は、平成28年4月1日から平成31年12月31日まで
④相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの
間に譲渡したもの。
⑤譲渡価額が1億円を超えないこと。
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