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Ⅰ.個人所得課税
1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
(1)配偶者の給与収入が150万円以下まで配偶者控除適用範囲拡大
(現行103万円まで)
(2)配偶者控除等の適用される納税者本人に収入制限を設け給与収入(合計所
得金額)が1,120万円(900万円)を超える場合には控除額が逓減します。
(3)配偶者特別控除については配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下
(給与収入のみの場合で2,014,285円以下)まで適用できます(現行では141万
円以下まで)。
(4)納税者の合計所得金額が1,000万円(給与収入ベースで1,220万円)を超える
場合、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用がなくなり38万円×超過累
進税率相当額の増税となります。
<<早 見 表>>
配偶者の給与収入(合計所得金額) (単位:万円)
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内 容 |
配偶者
控 除 |
配偶者特別控除 |
~103
(~38) |
〜150
(〜85) |
〜155
(〜90) |
〜160
(〜95) |
〜167
(〜100) |
〜175
(〜105) |
〜183
(〜110) |
~1,120
(~900) |
38
|
38
|
36
|
31
|
26
|
21
|
16
|
~1,170
(~950) |
26 |
26 |
24 |
21 |
18 |
14 |
11 |
~1,220
(~1,000) |
13 |
13 |
12 |
11 |
9 |
7 |
6 |
1,220~
(1,000~) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
|
|
|
内 容 |
配偶者特別控除 |
〜190
(〜115)
|
〜197
(〜120) |
〜201
(〜123) |
201〜
(123〜) |
~1,120
(~900) |
11
|
6
|
3
|
- |
~1,170
(~950) |
8 |
4 |
2 |
- |
~1,220
(~1,000) |
4 |
2 |
1 |
- |
1,220~
(1,000~) |
- |
- |
- |
- |
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<適用開始時期> 平成30年分の所得税、平成31年度分の住民税から
2.積立NISAの創設
積立NISAを創設して現行のNISA(元本年間120万円まで、5年間、配当と譲渡
益非課税)との選択適用とします。
<<積立NISA特徴>>
①年間の投資上限額は40万円。②非課税期間は20年。
③ 長期の累積投資に適した商品性を有するものに限定
<<現行のNISA積立とNISA比較>>
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項 目 |
現行NISA |
積立NISA |
適用対象者 |
20才以上の居住者等(国内に恒久的施設を有する
非居住者含む)
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適用期間 |
H26年1月~H35年12月 |
H30年1月~H49年12月 |
非課税期間 |
5年 |
20年 |
限度額 各年/総額 |
120万円 / 600万円 |
40万円 / 800万円 |
対象金融資産 |
上場株式、上場新株予約権付社債、公募等株式投資信託、REAT等 |
公募等株式投資信託に限定 |
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<適用開始時期> 平成30年分の所得税、平成31年度分の住民税から
Ⅱ法人課税
1研究開発税制の見直し
試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、下記の見直
しを行います(所得税についても同様)
(1)中小企業は開発費用の最大17%(現行12%)、大企業は最大14%(現行10%
)の税額控除
(2)対象となる試験研究に製品の製造、技術の開発・考案・発明に加えて「サー
ビス開発」が追加。
<適用開始時期> 平成29年4月1日以降開始事業年度
2.所得拡大税制・賃上げした中小企業の減税拡充
企業の賃上げを促す減税制度を拡充し、前年と比較し社員の給与を2%以上増
やした中小企業に、給与総額の増加分の最大22%(現行10%)が法人税から控
除可能になります。
3.生産性向上設備の即時償却等(中小企業経営強化税制)
青色申告書を提出した中小企業者等で経営⼒向上計画の認定を受けた者が、
一定規模以上の特定経営⼒向上設備に該当する機械装置、工具器具、付属設
備、ソフトウエアを取得し事業の用に供した場合)即時償却又は7%(特定中小
企業者等は10%)の税額控除(法人税額の20%を限度)のいずれかを選択適用
<適用開始時期>
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に事業の用に供した生産性
向上設備に適用
4.中小企業者等の軽減税率の特例の延長
中小法人等の法人税の軽減税率の特例(課税所得800万円以下の部分につい
ては法人税率15%)が平成31年3月31日以前開始事業年度まで延長されます。
Ⅲ相続税・贈与税
1.相続税又は贈与税の納税範囲の見直し
現行では国内に住所を持たず日本国籍を有する人が、5年超海外に居住すれ
ば、その国外財産については相続税・贈与税の対象外となっていました。今回
この「5年の海外居住要件」が「10年超」に変更されます。
日本に住所・国籍を持っていない人が10年以内に国内に住所を持っていた人か
ら相続・遺贈により取得した国外財産については相続税の課税対象とされます。
2.事業承継税制の見直し
(1)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加
えます。
(2)非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認
定相続承継会社の要件について、中小企業者であること及び当該会社の
株式等が非上場株式等に該当することとする要件を撤廃することとなりまし
た。
<適用開始時期> 平成29年1月1日以後の相続・贈与から。
3.非上場株式の評価方法見直し
(1)類似業種比準方式の見直し
①)類似業種の上場会社の株価について、現行に加え前2年間平均額を追加
②類似業種の上場会社の配当⾦額、利益⾦額、簿価純資産価額について、
連結決算を反映させたものとする
③配当⾦額、利益⾦額、簿価純資産価額の比重が1:1:1に変更
これまでの比重は1:3:1で、利益の額を重視した評価額計算でしたが、
改正により、利益がたくさん出ている会社の株式は、改正前よりも評価額
が下がります。
(2)評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社、中会社の適用範囲
を拡大
<適用開始時期> 平成29年1月1日以降の相続等から。
4.財産評価 広大地評価の見直し
評価方法を面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて
形状・面積に基づき評価する方法に見直し。
<適用開始時期> 平成30年1月1日以降の相続等から。
5.財産評価株式保有特定会社の判定基準
判定基準に新株予約権付社債を加えます。
~新株予約権付社債を持っていることで、改正後、株式保有特定会社になる場
合もあり得ます。
<適用開始時期> 平成30年1月1日以降の相続等から。
Ⅳ居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る固定資産税の税額計算見直し
高さが60mを超える居住用建築物(建築基準法上の超高層建築物)に係る固定資
産税、不動産取得税について下記のとおり見直しされます。
建築物全体の固定資産税額、不動産取得税を按分する床面積の割合について、
1階を100とし、1階増すごとに10/39を加えた補正率で計算されます。この結果、高
階層の方は課税額が大きくなり、低階層の方は課税額が少なくなります(1階に比
べると30階は約7.4%、40階は約10%ほど税額が高くなります)。
<適用開始時期> 平成30年度から新たに課税
Ⅴその他
1.各種届出書
(1)法人税の納税地異動に伴い提出する届出書は異動後の納税地の所轄税務
署長への提出は不要となります。
(2)法人の設立届出書等について登記事項証明書の添付が不要となります。
<適用開始時期> 平成29年4月1日以降に生じる異動より適用
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